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労働基準法のポイント

労働基準監督署 就業規則 労務管理

【目次】下記クリックすればジャンプします

労働者とは、賃金とは、平均賃金とは
(労働基準法第9条、11条、12条)

労働基準法において労働者とは
  1. 職業の種類を問わず
  2. 事業または事業所に使用され
  3. 賃金を支払われる者

さらに、労働者であるかどうかの判断基準は、

  • 労務提供の形態が指揮監督下の労働であること
    ・仕事の依頼、業務従事の指示等に対し諾否の自由があるかどうか
    ・業務遂行上の指揮監督の有無

     
  • 報酬が労務の対償として支払われていること
    ・報酬の性格が使用者の指揮監督の下に一定時間労務を提供していることへの対価と判断されるかどうか
賃金とは

賃金とは、名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいいます。就業規則などであらかじめ支給条件が明確に定められている賞与や退職金なども賃金に含まれます。

平均賃金とは

 労働基準法では、解雇予告手当の計算や労災補償の基礎となるものとして、平均賃金が用いられます。
 この平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日より前の3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額(税金控除前)をその期間の総日数で除した金額をいいます。

 賃金締切日がある場合は、その起算日は直前の賃金締切日となり、雇い入れ後3か月に満たない者については、計算期間は雇い入れ後の期間となります。
 なお、パートタイマーなどで出勤日数が極端に少ない場合は、3か月間に支払われた賃金の総額を出勤日数で除した額の6割相当額と上記計算方法で得た額と、どちらか多い方が平均賃金となります。

労働契約(労働基準法第13条、14条、15条)

労働契約期間

 労働契約の期間は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(特定の業務に就く者を雇い入れる場合や、満60歳以上の者を雇い入れる場合には5年)を超えてはなりません。

労働条件の明示

 働く人が自分の働く条件を知ることはとても重要なことですし、様々なトラブルの回避に役立ちます。

そこで、労働基準法では以下のように決められています。

  • 使用者が労働者を採用するときは、賃金、労働時間その他の労働条件を書面で明示しなければなりません。
     
  • 明示された労働条件と事実が相違している場合には、労働者は即時に労働契約を解除することができます。

※なお、書面の交付による明示事項は以下のとおりです。

  1. 労働契約の期間
  2. 就業の場所・従事する業務の内容
  3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交代制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項
  5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

※また、口頭による明示でもよい事項は以下のとおりです。

  1. 昇給に関する事項
  2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項
  3. 臨時に支払われる賃金・賞与などに関する事項
  4. 労働者に負担させる食費・作業用品その他に関する事項
  5. 安全衛生に関する事項
  6. 職業訓練に関する事項
  7. 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
  8. 表彰、制裁に関する事項
  9. 休職に関する事項

解雇のルール

 解雇は客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効となります。

 この解雇に関するルールは一般に「解雇権濫用法理」と呼ばれ、昭和50年の最高裁判決以降実務上で確立されたものですが、平成15年の労働基準法改正により明記されました。その後、労働契約法16条に移管されました。

 また、会社の経営不振等を理由とする労働者の「整理解雇」については、裁判例においていわゆる整理解雇の四要件(四要素)が示されたものがあります。

  1. 経営上の必要性
    倒産寸前に追い込まれているなど、整理解雇をしなければならないほどの経営上の必要性が客観的に認められること。
  2. 解雇回避の努力
    配置転換、出向、希望退職の募集、賃金の引き下げその他、整理解雇を回避するために、会社が最大限の努力を尽くしたこと。
  3. 人選の合理性
    勤続年数や年齢など解雇の対象者を選定する基準が合理的で、かつ、基準に沿った運用が行われていること。
  4. 労使間での協議
    整理解雇の必要性やその時期、方法、規模、人選の基準などについて、労働者側と十分に協議をし、納得を得るための努力を尽くしていること。
解雇制限について
  • 労働者が業務上の負傷や病気になった場合に、その療養のために休業する期間及びその後30日間と、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業する期間及びその後30日間は解雇できません。
     ただし、使用者が労働基準法第81条の規定によって打切補償を支払った場合や、天災事変などやむを得ない理由により事業の継続ができなくなった場合はこの限りではありません。
  • 天災事変その他やむを得ない事由による解雇については、その事由について所轄の労働基準監督署長の認定を受けなければなりません。
解雇の予告

労働者を解雇しようとする場合は、少なくとも30日以上前に予告をするか、30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません。

なお、以下の場合においては、解雇予告が除外されます。

  • 天災事変その他やむを得ない事由により事業の継続が不可能となり、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたとき
    (例:火災による焼失、地震による倒壊など)

     
  • 労働者の責に帰すべき事由によって解雇するときで、所轄の労働基準監督署長の認定を受けたとき
    (例:横領・傷害、2週間以上の無断欠勤など)
    なお、この認定は、労働者に対して解雇の意思表示をする前に受けておくのが原則です。

     
  • 日々雇い入れられる者
    ただし、一ヶ月を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となります。

     
  • 2か月以内の期間を定めて使用される者、または季節的業務に4か月以内の期間を定めて使用される者
    ただし、契約期間を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となります。

     
  • 試の使用期間中の者
    ただし、試の使用期間を設けることを予め労働者に明示しておく必要があります。
    更に、14日を超えて引き続き使用されている場合には、解雇予告または解雇予告手当の支払いが必要となります
解雇理由の証明

 解雇の予告がされた日から退職の日までの間に、労働者が当該解雇の理由について証明書を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。

 ただし、解雇の予告がされた日以降に、労働者が当該解雇以外の事由により退職したときは、使用者はその労働者の退職日以降、上記の証明書を交付する必要はありません。

退職時の証明

労働者が退職の場合に、在職中の契約内容などについて証明書の交付を請求したときは、使用者は遅滞なくこれを交付しなければなりません。
なお、労働者の請求しない事項を記入してはいけません。

金品の返還

 労働者の死亡または退職の場合で、権利者の請求があった場合には、請求を受けた日から7日以内に賃金を支払い、積立金、保証金、貯蓄金その他名称の如何を問わず、労働者の権利に属する金品を返還しなければなりません。

 ここで言う賃金とは、労働協約や就業規則などであらかじめ支給条件が定められている退職金も含みます。但し、退職金の支払時期については、あからじめ定められた支払時期で良い、とされています。

賃金(労働基準法第24条、25条、26条、27条、28条)

賃金の支払いの5原則
  1. 通貨で
  2. 全額を
  3. 毎月1回以上
  4. 一定の期日を定めて
  5. 労働者に直接支払う

 また、賃金から税金、社会保険料など法令で定められているもの以外のものを控除する場合には、労働者の過半数で組織する労働組合または労働者の過半数を代表する者との労使協定が必要です。

なお、一定の条件

  1. 労働者の同意を得ること
  2. 労働者の指定する本人名義の預貯金口座に振り込まれること
  3. 賃金の全額が所定の支払日に払い出し得ること)

 を満たせば、金融機関への振込により支払うことができます(証券会社の一定要件を満たす預かり金に該当する証券総合口座への賃金及び退職手当の振込も可能です)。

また、退職手当については労働者の同意を条件に、

  1. 銀行振出小切手
  2. 銀行支払保証小切手
  3. 郵便為替

により支払うことができます。

休業手当

 会社側の都合により労働者を休業させた場合は、休業させた所定労働日について、平均賃金の6割以上の「休業手当」を賃金支払日に支払わなければなりません。

最低賃金

 最低賃金は、賃金の最低限度を定めるものであり、使用者は、最低賃金額以上の賃金を労働者に支払わなければなりません。

 仮に最低賃金額より低い賃金を労使合意の上で定めても、それは法律により無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとみなされます。

なお、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

  • 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)
  • 所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(時間外割増賃金など)
  • 所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)
  • 午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分(深夜割増賃金など)
  • 精皆勤手当、通勤手当及び家族手当
最低賃金の適用除外

最低賃金は原則として事業場で働く常用・臨時・パート・アルバイトなど雇用形態や呼称の如何を問わず、すべての労働者に適用されますが、次の労働者については、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることを条件として個別に最低賃金の適用除外が認められています。

  1. 精神または身体の障害により著しく労働能力の低い者
  2. 試の試用期間中の者
  3. 職業能力開発促進法に基づく認定職業訓練を受ける者のうちの一定のもの
  4. ア. 所定労働時間の特に短い者
    イ. 軽易な業務に従事する者
    ウ. 断続的労働に従事する者

労働時間の基本

休憩時間を除いて1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。

 ただし、商業、映画・演劇業、保健衛生業及び接客娯楽業であってパートタイマーなどを含めて、常時使用する労働者の数が9人以下の事業所(「特例措置対象事業場」といいます)における1週間の上限は44時間となります。

 労働時間の基本は「どの週においても40時間(特例対象事業場にあっては44時間)以下」ですが、一定の期間を平均して40時間以下、とする以下のような変形労働時間制による方法も可能です。

(1)1か月単位の変形労働時間制

 1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内の一定の期間を平均し、1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以下の範囲において1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

 この制度の採用にあたっては、就業規則または労使協定の締結(所定様式により労働基準監督署長への届出必要)が必要となります。

(2)1年単位の変形労働時間制

 1年単位の変形労働時間制は、労使協定を締結することにより、1か月を超える1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業場を含む)の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

(3)1週間単位の非定型的変形労働時間制

 1週間単位の非定型的変形労働時間制とは、規模30人未満の小売業、旅館、料理・飲食店の事業において、労使協定により、1週間単位で毎日の労働時間を弾力的に定めることができる制度です。

この制度を採用するには、

  1. 労使協定を締結することにより、1週間の労働時間が40時間(特例措置対象事業場も含む)以下になるように定める、かつ、この時間を超えて労働させた場合には、割増賃金を支払う旨を定めること
  2. 労使協定を所定の様式により、所轄の労働基準監督署長に届け出ること

が必要です。

(4)フレックスタイム制

 フレックスタイム制とは、1か月以内の一定期間の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働く制度です。この制度を採用するには、

  1. 就業規則その他これに準ずるものにより、始業及び終業の時刻を労働者の決定に委ねることを規定すること
  2. 労使協定において、対象となる労働者の範囲、清算期間、清算期間中の総労働時間、標準となる1日の労働時間などを定めること

が必要です。

時間外、休日労働とは

 時間外労働とは、1日8時間、1週間に40時間を超えて時間外や休日(法定外休日)に労働をさせることです。また、休日労働とは、1週間に1日もしくは4週間で4日の休日(法定休日)を確保できない状態で労働をさせることです。

 ここで注意が必要なのは、「法定休日」と「法定外休日」との違いで、法定休日に労働させた場合には、3割5分以上の割増賃金を支払う必要があることです。

 法定外休日についても、その日に労働させたことにより当該週が40時間を超えることになるならば、時間外労働になりますから、2割5分以上の割増賃金の支払いが必要になります。

 なお、変形労働時間制を採用することによって、1日8時間、1週間に40時間を超えて労働させても時間外労働にならない場合があります。

時間外・休日労働協定届(36条協定)とは

 使用者が労働者に時間外労働を行わせるためには、予め労働者の過半数で組織する労働組合か労働者の過半数を代表する者との間に労使協定(労働基準法第36条に基づく協定であることから「36協定」といいます)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出ておく必要があります。ハローワーク(職安)では求人票を受理する際、この36協定の届出の確認を行っています。具体的には、「36協定届出済み」、「36協定届出指導中」の記述が求人票に記載されます。

 この36協定においては、時間外・休日労働を行わせる職種や人数、1日や1か月における延長することができる時間の限度を定めておかなければなりません。
さらに、この延長することができる時間についても、労働者の福祉、時間外労働の動向などを考慮して基準(厚生労働省告示)が定められていますので、36協定の内容はこの基準等に適合したものとする必要があります。

  1. 時間外労働の限度に関する基準について労働基準法では1日及び1週間の労働時間並びに休日日数を定めていますが、こうした法定労働時間を超えて時間外や休日に労働を行わせるには、事前に同法第36条の規定による時間外労働・休日労働協定(36協定)を労使で締結し、所轄の労働基準監督署長に届出なければならない、としています。

 しかし、これは届出さえすれば時間外労働・休日労働を無制限に認める趣旨ではなく、時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめられるべきものであることは言うまでもありません。

 このため、36協定において定める労働時間の延長の限度等に関する基準として時間外労働の限度に関する基準(平成10年労働省告示第154号)が定められました。労使は、36協定内の内容がこの基準に適合したものとなるようにしなければなりません。
 なお、法定の時間外労働については2割5分以上、法定の休日労働については3割5分以上の割増賃金の支払いがそれぞれ必要になります。

チェックポイント1

法定の要件を満たした36協定の届出が必要です。
労使は以下の事項について協定しなければなりません。

  1. 時間外労働をさせる必要のある具体的事由
  2. 時間外労働をさせる必要のある業務の種類
  3. 時間外労働をさせる必要のある労働者の数
  4. 1日について延長する事ができる時間
  5. 1日を超える一定の期間について延長する事ができる時間
  6. 有効期間

 36協定は、使用者と、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においては、その労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者との間で締結する事が必要ですが、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合の労働者の過半数を代表代表する者は、次のいずれにも該当するものでなければなりません。

  1. 監督又は管理の地位にある者でないこと
  2. 労使協定の締結等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出されたものであること

チェックポイント2

36協定は以下の基準に適合したものとなるようにしなければなりません。

  • 36協定の締結に当たっては、安易に臨時の業務などを予想して対象業務を拡大したりすることのないよう、業務の区分を細分化することにより時間外労働をさせる業務の範囲を明確にすることが必要です。
     
  • 1日を超え3ヶ月以内の期間及び1年間の双方について協定しなければなりません。
     
  • 36協定で定める延長時間は、最も長い場合でも下表の限度時間を超えないものとしなければなりません。
延長時間の限度

期間

一般の労働者

1年単位の変形労働

1週間

15時間

14時間

2週間

27時間

25時間

4週間

43時間

40時間

1箇月

45時間

42時間

2箇月

81時間

75時間

3箇月

120時間

110時間

1年間

360時間

320時間

特別条項付き36協定とは

 臨時的に限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合に次のような特別条項付き協定を結べば、限度時間を超える時間を延長時間とすることができます。

この場合、次の要件を満たしていることが必要です。

  1. 原則としての延長時間(限度時間以内の時間)を定めること
  2. 限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない特別の事情をできるだけ具体的に定めること
  3. 「特別の事情」は、次のア・イに該当するものであること
    ア. 一時的又は突発的であること
    イ. 全体として1年の半分を超えないことが見込まれること
  4. 一定期間の途中で特別の事情が生じ、原則としての延長時間をする場合に労使がとる手続を、協議、通告、その他具体的に定めること
  5. 限度時間を超える一定の時間を定めること
  6. 限度時間を超えることのできる回数を定めること

特別条項付き36協定の取扱いの改正

  1. 特別条項付き協定を締結する場合、「特別の事情」は「臨時的なものに限る」ことを明確にする改正が施行されました。
    「臨時的なもの」とは、一時的又は突発的に、時間外労働を行わせる必要のあるものであり、全体として1年の半分を超えないことが見込まれるものを指します。限度時間を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情は、限度時間以内の時間外労働をさせる必要のある具体的事由よりも限定的である必要があります。

     
  2. 上のような趣旨から、特別条項付き36協定を締結する際は、限度時間を超えることのできる回数を協定して、その回数については1年のうち半分以下となるよう、労使で「特別の事情」を協議してください。
     
  3. 特別条項付き36協定において、1日を超えて3ヶ月以内の一定期間の労働時間を延長することにより、1年間について限度時間を超えて労働させる必要が生じる場合には、1年間についても限度時間を超える一定の時間を定める必要があります。
※「特別の事情」の例
臨時的と認められるもの臨時的と認められないもの
予算、決算業務(特に事由を限定せず)業務の都合上必要なとき
ボーナス商戦に伴う業務の繁忙(特に事由を限定せず)業務上やむを得ないとき
納期のひっ迫(特に事由を限定せず)業務繁忙なとき
大規模なクレームへの対応使用者が必要と認めるとき
機械のトラブルへの対応年間を通じて適用されることが明らかな事由
★適用除外

次の事業又は業務には、上記の限度時間が適用されません。

  1. 工作物の建設等の事業
  2. 自動車の運転の業務
  3. 新技術、新商品等の研究開発の業務
  4. 厚生労働省労働基準局長が指定する事業又は業務(ただし、1年間の限度時間は適用されます。)
育児・介護を行う者の時間外・休日労働

 小学校就学前の子の養育や家族の介護を行う一定の労働者は、育児・介護休業法の適用を受けることから、労働基準法第36条に基づく時間外労働の協定届を行った場合でも、本人が請求したときは、1か月24時間、1年150時間を超えて労働時間を延長することはできません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合はこの限りではありません。

 また、小学校就学前の子の養育や家族の介護を行う一定の労働者は、本人が請求した場合は、事業の正常な運営を妨げる場合を除き、午後10時から午前5時までの間に労働させることはできません。

 なお、育児・介護休業法は女性労働者のみならず男性労働者にも適用がありますので、この請求は男女問わず行えます。

時間外、休日及び深夜の割増賃金

 時間外や深夜(午後10時~午前5時)に労働させた場合には、2割5分以上法定休日(1週間に1日もしくは4週間で4日の休日)に労働させた場合には、3割5部以上の割増賃金を支払わなければなりません。これは、たとえ時間外労働・休日労働に関する協定届の提出がなされていなくても支払いの義務があります。

 また、割増賃金の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当、臨時に支払われた賃金、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金は算入しません。

事業場外労働のみなし労働時間制

 事労働者が事業場外で労働し、労働時間の算定が困難な場合には、所定労働時間労働したものとみなされます。
 ただし、事業場外で働く従事者の中に労働時間を管理する者がいたり、事業場外で働く者に携帯電話等によっていつでも連絡がとれる状態にあって随時使用者の指示を受けながら労働したりする場合には、みなし労働時間制の対象外となります。

 また、事業場外労働で所定労働時間を超えて労働することが通常必要となる場合においては、「当該業務の遂行に通常必要とされる時間」または「労使協定で定めた時間」労働したものとみなされます。

年次有給休暇の付与日数

0.5年

1.5年

2.5年

3.5年

4.5年

5.5年

6年~

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

年次有給休暇の請求権

年次有給休暇の請求権は2年で時効によって消滅します。

年次有給休暇の請求権は基準日に発生することから、基準日から起算して2年間、すなわち、当年度の初日に発生した休暇については、翌年度末で消滅します。

年次有給休暇の取得時季について

 年次有給休暇の取得時季の指定権は労働者にありますが、指定時季が事業の正常な運営を妨げるような場合は、使用者に休暇時季の変更権が認められています。
ここで言う「正常な運営を妨げる」とは、年度末や決算期などの業務繁忙期に多数の労働者の年次有給休暇取得請求が集中するなどの場合に限られます。

 また、労働基準法では年次有給休暇の付与単位を暦日としていますので、労働者が半日単位で請求しても必ずしもこれに応じる必要はありませんが、労使双方で了解すれば半日単位での付与も可能です。

年次有給休暇の賃金の支払いについて

年次有給休暇取得中の賃金の支払いについては、「出勤したもの」として取り扱います。

 1年単位の変形労働時間制とは、労使協定を締結することにより、1箇月を超える1年以内の一定の期間を平均し1週間の労働時間が40時間以下(特例事業場も同じ。)の範囲内において、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。

(制度の例)

  • 年間休日=105日(日曜52日、土曜26日、祝日13日、正月7日、お盆7日)
  • 年間所定労働日=260日(365日-105日)
  • 年間所定労働時間=2,080時間(260日×8時間(所定労働時間))
  • 1週当たり労働時間=39時間54分(2,080時間÷365日×7)
(1)労働日数や労働時間に関する限度
  1. 労働日数の限度
    対象期間が1年の場合は、労働日数は280日が限度です。
  2. 1日及び1週間の労働時間の限度
    1日の労働時間の限度は10時間、1週間の限度は52時間です。ただし、対象期間が3箇月を超える場合は、次のいずれにも適合しなければなりません。
    [1]労働時間が48時間を超える週を連続させることができるのは3週以下
    [2]対象期間を3箇月ごとに区分した各期間において、労働時間が48時間を超える週は、週の初日で数えて3回以下
  3. 連続して労働させる日数の限度
    続労働日数の限度は6日です。ただし、特定期間(対象期間中で特に業務が繁忙な期間)における連続して労働させる日数の限度は、1週間に1日の休日が確保できる日数です。
  4. 労働時間の特定
    対象期間を1ヶ月以上の期間ごとに区分した場合、各期間の労働日数及び総労働時間を定める必要がありますが、最初の期間を除き協定時に全期間の労働日ごとの労働時間を示す必要はなく、区分された各期日の30日前までに労働日及び労働日ごとの労働時間を特定すればよいこととなっています。
    尚、特定された労働日及び労働日ごとの労働時間を変更することはできません。
(2)対象労働者の範囲と割増賃金

制度適用対象者のうち、下記の労働者については、規制があります。

  1. 年少者(満15歳~満17歳)
    1日8時間、1週48時間を超えない範囲で適用できます。
    なお、変形制をとらない場合でも1週40時間の範囲で1週間のうち1日の労働時間を4時間以内に短縮する場合は他の日の労働時間を10時間まで延長できます。
  2. 適用免除を申し出た妊産婦
    適用できません。
    (妊産婦とは、妊娠中及び産後1年以内の女性労働者をいいます。)
  3. 育児・介護等で特別の配慮を要する者
    適用できますが、労働者が必要な時間を確保できるような配慮が必要です。
(3)就業規則の変更

 労働者が常時10名以上である事業場は、就業規則の作成・所轄労働基準監督署長への届出が義務付けられています。1年単位の変形労働時間制を採用する場合は、就業規則にその旨記載をし、変更をする必要があります。

 なお、継続的に1年単位の変形制を採用する場合には、その初年度において就業規則の変更を行えば次年度以降の変更は必要ありませんが、年間カレンダーを就業規則の附属規定としている場合は、毎年度の改定が必要となります。

(4)労働基準監督署長への届出

「1年単位の変形労働時間制に関する協定」は、年間カレンダー等を添付のうえ、所定の様式とともに所轄労働基準監督署長に届け出る必要があります。

過半数代表者とは?

 1年単位の変形労働時間制に関する協定などの労使協定における労働者側の締結当事者や就業規則を提出する際の意見者は、その事業場に、パートタイマーなども含んだ全労働者の過半数で組織する労働組合(過半数労働組合)がある場合には、その労働組合となります。

 過半数労働組合がない場合に限り、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)が締結当事者となります。

※なお、過半数代表者は次の条件を満たす必要があります。

  1. 労働基準法第41条第2号に規定する監督、管理者でない者
  2. 労使協定等の締結者、就業規則への意見者としての過半数代表者の選出である旨を明らかにして行われる投票・挙手等で選出された者

 労働時間の基本は、1日8時間、1週40時間(特例措置事業所44時間)です。

 しかし、月末・月初や特定の週のみ業務が忙しい場合に、1ヶ月の業務の繁閑に合わせて労働日や労働時間を設定することができれば1ヶ月の総労働時間を短縮することが可能です。

 また、この制度は、1日や1週の労働時間に制限がないので、隔日勤務(タクシー会社に多い勤務形態)、隔週で休日(例えば、隔週の土曜休)を設けている場合に有効な制度です。

導入に適した業種・職種
  • 医療法人機関
  • 介護事業所
  • 飲食業
  • 運送業
  • 警備業
  • 1ヶ月単位でシフトを組む職種・職種

 「1年単位の変形労働時間制」においては、年間休日数が最低85日必要であることや、設定可能な労働時間数が、1日10時間、1週52時間と制限されるのに対し、「1ヶ月単位の変形労働時間制」では、そのような制約がないため、実際の休日日数が少ない会社や、長時間の労働を要する業種(飲食業、運送業)において採用されています。

導入の要件
  1. 就業規則又は労使協定書に定める
  2. 変形期間における、各日・各週の労働時間を具体的に定める
  3. 変形期間の起算日を定める
  4. 変形期間における法定労働時間の総枠を定める
  5. 対象となる労働者を定める
時間外労働(残業)となるケース
  1. 1日について
    ・8時間を超える時間を定めた日は、その時間を超えて労働させた時間
    ・上記以外の日は、8時間を超えて労働させた時間
  2. 1週間について
    ・40時間を超える時間を定めた週は、その時間を超えて労働させた時間
    ・上記以外の週は、40時間を超えて労働させた時間(1日について時間外労働になる時間を除く)
  3. 変形期間について
    ・変形期間における法定労働時間の総枠(法定労働時間×対象期間の暦日数÷7)を超えて労働させた時間(1日及び1週間について時間外労働になる時間を除く)
1ヶ月の法定労働時間の総枠

1ヶ月の歴日数

労働時間の総枠

特例事業所

31日

177.1時間

194時間

30日

171.4時間

188時間

29日

165.7時間

182時間

28日

160.0時間

176時間

※総労働時間内で1ヶ月の労働日・労働時間を割り振っていくことになります。

最低限必要な休日数(所定労働時間別)
 

31日

30日

29日

28日

8時間00分

9日

9日

9日

8日

7時間30分

8日

8日

8日

7日

7時間15分

7日

7日

7日

6日

7時間00分

6日

6日

6日

6日

短時間労働者に対する適用

 短時間労働者であっても、週1回の出勤で一日の所定労働時間が8時間を超える設定がなされている場合や、一日の労働時間が短くても6日出勤で週の所定労働時間が40時間を超過する場合では1ヶ月単位の変形労働時間制を適用する必要があるります。

 例えば飲食業において、土曜日と日曜日に所定労働時間が10時間として労働させる場合が該当します。

最低年齢

 児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日までの者)を労働者として使用することは禁止されています。

 なお、非工業的事業では満13歳以上、さらに、映画制作・演劇の事業では満13歳に満たない児童であっても所轄の労働基準監督署長の許可を条件として、例外的に修学時間外に働かせることができます。

年少者の証明

 年少者(満18歳未満の者)を使用する場合には、年齢証明書を、児童を使用する場合にはさらに学校長の証明書、親権者等の同意書を事業場に備え付けておかなければなりません。

 なお、年齢証明書については戸籍謄本や抄本ではなく、住民票記載事項証明書が良いでしょう。

未成年者の労働契約

 親権者または後見人が未成年者に代わって労働契約を締結することは禁止されています。したがって、未成年者の労働契約は、未成年者が親権者または後見人の同意を得て自ら締結することとなります。

 また、未成年者が締結した労働契約がその未成年者に不利であると認められる場合には、親権者、後見人または所轄労働基準監督署長は、その労働契約を将来に向かって解除することができます。

年少者の労働時間・休日

 年少者(満18歳未満)については各種変形労働時間制、労使協定による時間外・休日労働、労働時間・休憩の特例は原則として適用されません。

 許可を受けて使用する児童(満15歳に達した日以後の最初の3月31日を終了していない児童)の法定労働時間は修学時間を通算して1週40時間、1日7時間とされています。

年少者の深夜業

 年少者を深夜(午後10時~午前5時(児童については午後8時~午前5時)に働かせることは、※以下の例外を除いて原則として禁止されています。

  1. 交代制で使用する16歳以上の男性
  2. 交代制による事業において労働基準監督署長の許可により午後10時30分まで労働させる場合など
  3. 農林水産業、保健衛生業、電話交換業務の従事者
  4. 非常災害時の時間外・休日労働

妊産婦の終業制限

 妊産婦を妊娠、出産、哺育などに有害な業務(重量物の取扱いや有害ガスを発散する場所における業務その他)に就かせてはいけません。
お、妊産婦とは妊娠中及び産後1年を経過しない女性をいいます。

産前産後

 6週間(多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはいけません。また、妊娠中の女性が請求した場合には、他の軽易な作業に転換させなければなりません。

 産後8週間を経過しない女性を就業させてはいけません。
ただし、産後6週間を経た女性が請求した場合には、医師が支障がないと認めた業務に就業させることは差し支えありません。

妊産婦の労働時間

 妊産婦は、変形労働時間制がとられる場合にも、妊産婦が請求した場合、1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができません。
また、妊産婦が請求した場合、時間外・休日労働及び深夜業をさせてはなりません。

育児時間

生後満1年に達しない生児を育てる女性から請求があった場合には、休憩時間のほかに、1日2回それぞれ少なくとも30分の生児を育てるための時間を与えなければなりません。

生理休暇

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇(半日、時間単位でも足ります)を請求したときは、その者を就業させてはなりません。

就業規則(労働基準法第89条、90条、91条、92条、93条)

就業規則について

 パートタイマーなどを含めて常時10人以上の労働者を使用している事業場では、就業規則を作成し、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、過半数で組織する労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者の意見書を添えて、所轄労働基準監督署長へ届け出なければなりません。
就業規則を変更した場合も同様に届け出が必要です。

なお、10人未満の事業場においても就業規則の作成が望ましいです。

就業規則に記載しなければならない事項

就業規則を作成する際に必ず記載しなければならない事項は以下のとおりです。

  • 絶対的必要記載事項
  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交代制の場合には就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払いの時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
  • 以下は相対的必要記載事項
  1. 退職手当に関する事項
  2. 臨時の賃金(賞与)・最低賃金額に関する事項
  3. 食費・作業用品などの負担に関する事項
  4. 安全衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償、業務外の疾病扶助に関する事項
  7. 表彰、制裁に関する事項
  8. その他全労働者に適用される事項
制裁規定の制限

就業規則において、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはいけません。

業務対応地区

【中国地方】-山口県、広島県、岡山県、島根県、鳥取県

【九州地方】-福岡県、大分県、熊本県、長崎県、佐賀県、鹿児島県、宮崎県、沖縄県

【四国地方】-愛媛県、香川県、高知県、徳島県

※ただし、下記の業務は全国対応が可能です。

【労働トラブル対応・解決業務】

  • 労働基準監督署の対応
  • 合同労組・ユニオン・労働組合の対応
  • 未払い残業代請求対策対応

【トラック運送業の賃金制度】

  • 2024年問題の対応・対策
  • 労働時間管理構築
  • 未払い残業代対策
  • 賃金制度構築(歩合給、固定残業)
  • 働き方改革の実務対応

【就業規則の作成・変更・見直し】

  • 固定・定額残業制度の導入
  • 退職金制度の設計

【労務監査(M&A合併を含む)】

  • 労働条件審査、セミナー講師
  • M&A合併、事業譲渡

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