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同一労働同一賃金とは

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同一労働同一賃金とは・・・

■同一労働同一賃金とは

 同一労働同一賃金とは、一言で表現するのが難しい法律です。下のイラストを見て貰った方が感覚的に分かりやすいかも知れませんね。

「正規社員」と「非正規社員」が対照的な表情ですが、
この「格差」が法律的に不合理であるか否かを判断するために多くの裁判が行われてきました。そして、幾つかの裁判が現在進行形で審理中です。裁判でしか決着しないとなると、多くの時間とコストが掛かりますよね。資金力・組織力のある大企業であれば、裁判で決着するという選択肢もあるんでしょうが、中小企業では現実的はありません。

 そこで、厚生労働省は法律(パート・有期雇用労働法)、同一労働同一賃金ガイドライン(指針)を策定して、企業がそれをもとに不合理であるか否かを確認できるよう環境を整備しました。そして不合理な待遇格差があれば、企業内で解決することを第一としています。

 同一労働同一賃金の対応に、唯一の正解なんていうものはありません。各企業に置かれた背景、経緯、職務の内容、非正規社員と正規社員の定義、手当の金額、福利厚生の内容が複合的に決定されており、全く同じなんてことは無いからです。

 それじゃ、企業が適当に決めれば良いのじゃないかと考えるところですが、それは得策ではありません。同一労働同一賃金に関して、多くの裁判が行われてきましたが、それでも国内の企業数からすれば至極少数に過ぎません。大多数の中小企業では、問題が顕在化していないケースの方が圧倒的だと思います。問題が顕在化してトラブルが発生して後手後手に対応するよりは、潜在化のうちに余裕を持って対応した方が冷静かつ合理的な判断が可能です。

 そこで重要なのが、「納得感」なのです。納得感を高めるには、やはり説明につきます。パート・有期雇用労働法14条2項において、事業主の説明義務が課されているのは、「企業はちゃんと向き合って説明してくださいね」というメッセージだと思います。

「同一労働」と「同一賃金」に分けて考える(その1)

 まずは「同一労働」と「同一賃金」を切り分けて考えることが重要です。
「同一労働」っていうけれど、その定義は何?って話になりますよね。
上のイラストの非正規社員が、「同じ仕事をしてるのに」って言ってますが、
ここで
重要なのが本当に「同じ仕事」なんでしょうか?と言うことです。

 例えば、売場の販売職にそれぞれ正規社員、非正規社員がいたとします。お客さんから見れば、同じ一販売職に見えるでしょう。名札に非正規と表示があれば、それと意識するでしょうが、普通はないですよね。お客さん目線からだと、「同一労働」に見えるかと思います。

 この制度の運用では、企業目線で「同一労働」か否かを考える必要があります。
そもそも企業は何故、「非正規社員」を雇用するんでしょうか。正規社員が採用できないから、やむなく「非正規社員」をと言うこともあるかと思いますが、「正規社員」を補完する補助者として採用するのが一般的でしょう。

 そうすると、難易度、権限、責任、人事異動といった役割が違ってくると思います。同じ販売職でも、役割によって仕事の中身が違ってきますよね。そうなんです、置かれた立場(この場合、正規か非正規)によって仕事の中身が違うか否かを精査する作業が重要になってきます。

 精査した結果、全く同じであれば「均等待遇」、相違があれば「均衡待遇」が法律上求められることになります。前者の「均等待遇」は、実務上は圧倒的に少数派でしょう。実際、裁判沙汰になっているのは、後者の「均衡待遇」です。

 したがって、企業実務としては「均衡待遇」を主として対応
していくことになります。仮に「均等待遇」に近い非正規社員がいるんであれば、正規社員化するか、役割を見直して「均衡待遇」にするかの二択になるかと思います。

「同一労働」と「同一賃金」に分けて考える(その2)

 前項では、「同一労働」について解説しましたが、ここでは「同一賃金」について触れたいと思います。一見すると賃金を同一にしろって読めますが、法律の条文には、「基本給、賞与その他の待遇」と規定されています。基本給、賞与は分かりましたが、「その他の待遇」って一体何でしょうか。これを読み取るには、ガイドラインを引っ張り出す必要があります。

 以下、「その他の待遇」も併せてを列挙します。

1. 基本給

・能力又は経験に応じて支給するもの
業績又は成果に応じて支給するもの
勤続年数に応じて支給するもの
・昇級

2. 賞与

・賞与
・一時金

3. 手当

・役職手当
・特殊作業手当
・特殊勤務手当
・精皆勤手当
・時間外労働手当
・深夜労働手当、休日労働手当
・通勤手当
・出張旅費
・食事手当
・単身赴任手当
・地域手当

4. 福利厚生

・福利厚生施設
・転勤者用社宅
・慶弔休暇
・健康診断に伴う勤務免除、受診時間に係る給与の補償
・病気休職
・法定外の有給の休暇、
・その他の法定外の休暇

5.その他

・教育訓練
・安全管理に関する措置及び給付

以上です。

 結構ありますよねー。
と言うよりは労働条件全般って言っても過言ではないですよね!


 ガイドラインには記載がないんですが、実は裁判所(訴訟)レベルにおいては、
「退職金」、「住宅手当」、「家族手当」も争点になっています。

 少なくとも上記の趣旨に該当する待遇を実施しているんであれば、一つ一つ精査したうえで、「非正規社員」に対して「均衡待遇」を実施する必要があります。

何もかも同一にしなきゃいけないの?

 どうやら世間一般においては、同一労働同一賃金って言葉が一人歩きしている感があります。企業側はこの制度の趣旨を理解することが重要です。厚労省は一律に、「同じ仕事をしている非正規社員にも同じ賃金を支払いなさい、同じ福利厚生を適用しなさい」っていうことは言ってないのです。

 まずは、パート・有期雇用労働法のキモとなる最重要条文をみてみましょう。

パート・有期雇用労働法第8条(不合理な待遇の禁止)→均衡待遇

 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者の基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、当該待遇に対応する通常の労働者の待遇との間において、当該短時間・有期雇用労働者及び通常の労働者の①業務の内容及び②当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、③当該職務の内容及び配置の変更の範囲④その他の事情のうち、当該待遇の性質及び当該待遇を行う目的に照らして適切と認められるものを考慮して、不合理と認められる相違を設けてはならない。

パート・有期雇用労働法第9条(差別的取り扱いの禁止)→均等待遇

 事業主は、職務の内容が通常の労働者と同一の短時間・有期雇用労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間・有期雇用労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されることが見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間・有期雇用労働者」という。)については、短時間・有期雇用労働者であることを理由として、基本給、賞与その他の待遇のそれぞれについて、差別的取扱いをしてはならない。

参考:労働契約法20条(不合理な待遇の禁止)2021.4~上記8条へ統合

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の①業務の内容及び当該②業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、③当該職務の内容及び配置の変更の範囲④その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

  多くのケースは、第8条の均衡待遇に沿って対応

 繰り返しになりますが、「均等待遇」はかなりレアなケースです。したがって仮に該当者がいれば、「正社員化」または「役割の見直し」をして「均衡待遇」のレベルにもっていくことになります。

要するに「均衡待遇」って言うのは、
非正規社員と正規社員間において「仕事の内容が違う」のであれば

●仕事内容の違いに見合った
●バランスのとれた

処遇を非正規社員にもして下さいね、と言うことです。

ちなみに2018年6月以降、最高裁で判決された

・ハマキョウレックス事件
・長澤運輸事件
・大阪医科薬科大学事件
・メトロコマース事件
・日本郵便事件(東京、大阪、佐賀)

 の7事件は、いずれも「正社員」vs「有期契約労働者」の待遇格差を争った
「労働契約法20条」訴訟となります。2021年4月以降の新規の訴訟においては、
「均衡待遇」が争点であれば、パート・有期雇用労働法8条、「均等待遇」が争点であれば、パート・有期雇用労働法9条がそれぞれが根拠となります。

誰と誰の均衡待遇・均等待遇なのか?

 「均衡待遇」、「均等待遇」は「誰と誰の待遇を比較」を指すのでしょうか?
法律上は、3パターンを規定しています。パターン①は「正規社員VS有期契約社員」、パターン②は「正規社員VS短時間パート」、そしてパターン③は「派遣元社員VS派遣先社員」の3つのケースを想定しています。実務上、パターン③は限定的になるかと思いますので、本稿においての解説は省略します。

正社員 VS 有期契約労働者

●正社員の定義
・無期契約(期間の定めのない契約)
かつ
・フルタイム
 で、働く労働者を指します。法律では、通常の労働者と規定されています。

●有期契約労働者の定義
・有期契約(期間の定めのある契約)
かつ
・フルタイムまたはパートタイム
 で、働く労働者を指します。

 例えば、期間の定めのある
・契約社員
・「フルタイムパートタイマー」
・「短時間パートタイマー」
 などが該当します。

正社員 VS 短時間パートタイマー

●正社員の定義
・無期契約(期間の定めのない契約)
かつ
・フルタイム
 で、働く労働者を指します。法律では、通常の労働者と規定されています。

●短時間パートタイマーの定義
・正社員と比して1日の所定労働時間が短い労働者
・正社員と比して1週間の所定労働日数が少ない労働者
 で、有期または無期で働く労働者などが該当します。

留意点!!(下記の比較パターンは、保護の対象外)

 「パート・有期雇用労働法」は、「正規社員」と「非正規社員」の労働条件を比較して、不合理な格差等がある場合は「8条違反」、「9条違反」として、「非正規社員」の保護を図っています。対立構造があくまでも「正規社員VS非正規社員」のケースに限定しているのです。

 したがって、下記のような比較パターンは法律による保護は想定していません。

無期契約のフルタイムパートタイマーは保護の対象外でしょうか?

 御社には、こんな従業員さんいませんか?

 正社員と同じ8時間勤務で、1週間の出勤日数も同じパートタイマーって。
給料は時給で、賞与は寸志プラスα程度・・・。会社にとっては非常に使い勝手の良い労働者になります。パフォーマンスが高ければ、尚さらです。

 ここまでこのページお読みになられたら、自ずとお分かりかと思いますので、回答に関するコメントは控えます。ヒントはこの従業員が、「正規社員(通常の労働者)」あるいは「非正規社員」のどちらにカテゴライズされるかです。

 話がちょっとそれますが、人口減、超高齢化により人手不足時代に突入した現代、今働いている労働者の生産性向上は喫緊の課題となっています。フルタイムパートタイマーの処遇を改善することは、その生産性向上に寄与するのではないかと思っています。

留意すべき3つのポイント

企業規模、会社の置かれた現状(非正規社員、待遇格差)、担当者の理解力は、各社それぞれでしょう。したがって、唯一の正解って言うのはありません。各企業さんが取り組んだ結果を誠実に「納得感」が得られるよう説明することがなにより重要です。
以下、対応を進めるにあたって留意すべきポイントを挙げます。

不合理な待遇差の解消(パート・有期雇用労働法8条)

内容

正規社員と非正規社員との間で、個々の待遇ごとに、その待遇の性質・目的に照らして適切と認められる事情を考慮して判断されるべき旨が明確化されました。

解説

 「個々の待遇ごと」とは、待遇格差を検討するときは、年収といった大枠で捉えるのではなく、待遇ごとに精査する必要があると言うことです。●●手当、■■手当、▲▲手当、◆◆休暇、賞与、退職金等々、それぞれで検討することになります。

 「待遇の性質・目的」とは、簡単にいうと「何の為にその●●手当を支給しているんですか?」「何の為にその◆◆休暇を付与しているんですか?」という、そもそも論まで落とし込んで考える必要があると言うことです。

説明義務(パート・有期雇用労働法14条2項)

内容

 非正規社員の求めに応じて、
労働条件の
相違の内容および理由について説明義務が課されました。

解説

 この法律に対応たらしめる超強力な条文です。この説明義務に対応する作業プロセスこそ、同一労働同一賃金の対応そのものだからです。求めに応じての説明義務なので、求めがなければ大丈夫なんでしょ!って言うのは、14条2項の立法趣旨をいま一度考える必要があるかと・・・

行政指導&行政ADRによる紛争解決促進

内容

・行政による事業主への助言・指導

無料で利用できる裁判外紛争解決手続(ADR)

解説

 同一労働同一賃金に関する紛争に関しては、民事裁判を通じての解決が一般的でした。しかし、時間も費用も掛かり、多くの中小企業では現実的ではありません。そこで、法改正により、行政主導による紛争解決のメニューを数多く準備しています。例えば、山口労働局の雇用環境・均等室から、企業宛に「非正規社員に関するアンケート」なるものが郵送されて、同一労働同一賃金の状況を回答させることも、2021年4月以降は実施されることも考えられます。これこそ、助言・指導のための基礎資料になりますよね、行政機関にとっては・・・

不合理性を4つの視点から判断

 パート・有期雇用労働法8条(不合理な待遇の禁止)は、均衡待遇を規定した条文です。

ここで、条文を分割してみます。

不合理か否かの4つの判断視点(均衡待遇)

①業務の内容
質、レベルの相違

業務の種類(職種)とその中核的業務で判断。
■業務の種類(職種)とは
事務職、販売職、営業職、製造職、技術職、技能職、介護職・・・
■中核的業務とは
職種を構成する業務のうち、その仕事の中核的になもの。
例えば、販売職においては接客、介護職においては身体介護など

②業務の内容
権限、責任の相違
業務を遂行するにあたって、付与されている権限の範囲、責任者の程度
などが該当します。
■例として
・トラブル発生時の対応
・緊急時に求められる対応
・管理する部下の人数
・単独で決済できる権限の範囲
・売上ノルマ、期待度
③人材異動の有無

■例として
・配置転換、職種転換、転勤
・昇進、役割の変化

※形式上、「正社員」には人材の異動はあり、「非正規社員」にはない
といだけではダメで、実質上の相違で判断されます。

④その他の事情

上記3つ以外の事情で判断の要素となるもの。

■例として

・労使交渉の経緯

・労使慣行

・正社員登用制度

※「その他の事情」は、各企業における個々の状況に合わせて、
その都度検討されます。

 上記の4つの判断視点で、個々の待遇を一つ一つ、「不合理か否か」を検討していくことになります。待遇の種類が多いほど、検討作業も多くなります。

●待遇の種類として

・基本給
・賞与
・退職金
・各種手当
・慶弔休暇
・病気休職

業務対応地区

【中国地方】-山口県、広島県、岡山県、島根県、鳥取県

【九州地方】-福岡県、大分県、熊本県、長崎県、佐賀県、鹿児島県、宮崎県、沖縄県

【四国地方】-愛媛県、香川県、高知県、徳島県

※ただし、下記の業務は全国対応が可能です。

【労働トラブル対応・解決業務】

  • 労働基準監督署の対応
  • 合同労組・ユニオン・労働組合の対応
  • 未払い残業代請求対策対応

【トラック運送業の賃金制度】

  • 2024年問題の対応・対策
  • 労働時間管理構築
  • 未払い残業代対策
  • 賃金制度構築(歩合給、固定残業)
  • 働き方改革の実務対応

【就業規則の作成・変更・見直し】

  • 固定・定額残業制度の導入
  • 退職金制度の設計

【労務監査(M&A合併を含む)】

  • 労働条件審査、セミナー講師
  • M&A合併、事業譲渡

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